レジオネラ肺炎-診断・治療・院内感染対策を中心に-

1.疫学:米国の実際の報告数は年間500〜700人で推移しているが報告率は5〜1O%と見られ、年間8、000人〜18、000人が罹患していると推定されている。一方、厚生省感染症発生動向調査によると、本邦では調査開始より18ヵ月で155例が報告されている(平成12年、9月28日現在)。月平均8.6症例であり、これは米国の報告数の1/1Oであるが、厚生省レジオネラ研究班がおこなった1979から14年間に及ぶ調査の86例と比較すると症例数は大幅に増加しており、近い将来本邦でも欧米の頻度に近づくものと予想される。
2.診断:レジオネラ症の診断基準はWHO、CDC、The European Working Group for Legionella Infections(EWGLI)、日本から出されている。培養陽性およびL.pneumophila 1に対する抗体価の4倍以上の上昇を確定診断とすることは共通であるが、その他の検査法では各機関間において診断基準に差異が認められている。特に大きく異なる項目としてシングル血清の高抗体価の取り扱いである。CDCでは単一血清の高抗体価は診断基準より除外しているが、日本は確定診断として、EWGLIは推定診断として採用している。
3.治療:米国では従来はエリスロマイシン(EM)が第一選択薬とされていたが、近年はニューキノロン、ニューマクロライドが推奨されている。本邦でもこの度、静注用のキノロン薬が上市され、重症例の治療に役立つことが期待されている。
4.院内感染対策:米国ではレジオネラ肺炎の23%が院内肺炎と報告されている。レジオネラ肺炎の届出が制度化されている英国ではレジオネラ院内肺炎患者の69%がアウトブレイクと関連しているとしている。このようにレジオネラ肺炎は院内感染として重要のみならず、集団感染の危険性もあるので、従来の院内感染対策とは異なる対応が求められる。CDCではレジオネラ肺炎患者が過去に院内で発生したか否かで対応のレベルを替えた勧告を行っている。琉球大学医学部第一内科ではこれまで全国より送付された検体を中心に90例の本症の確定診断を行っている。本シンポジウムでは、当科で診断した症例を中心にレジオネラ肺炎の診断、治療、院内感染対策に焦点をあてて報告している。


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