冷却塔水中におけるレジオネラ属菌の経年変化

冷却塔はレジオネラ症の原因となるレジオネラ属菌が増殖する温床として指摘されており、その維持管理には様々な工夫がなされているが、冷却塔水中からレジオネラ属菌を根絶することは難しく、模索が続いている。そこで、今後の冷却塔の適正な管理指導の資料に供するため、3年連続夏季に同一冷却塔のレジオネラ属菌検査と維持管理調査を行い、解析を試みた結果、若干の知見を得たので報告する。1.3年間の継続調査でレジオネラ属菌検出率は著しく低下した。社会的なレジオネラへの関心の高まりと、施設管理者の管理意識の向上が、実際の管理強化に繋がった成果と思われる。2.冷却塔水から分離同定されたレジオネラ属菌の菌種及び血清群に明らかな交代が起こっていた基があり、清掃や抗レジオネラ剤によって菌が減少・除去・殺菌された後、新たに菌が侵入してきたことが考えられた。3.抗レジオネラ剤を使用する冷却塔が増加するにつれて、レジオネラ属菌検出率が低下する傾向が見られ、抗レジオネラ剤はフィールドにおいて菌検出率を下げる一因になったことが確認された。抗レジオネラ剤の使用方法のうち、処理剤単独使用群は本来の使用方法と異なる一時注入を行っていた施設が多かったため、効果が減少したことが推察された。4.抗レジオネラ剤使用群、不使用群ともに清掃の徹底がレジオネラ属菌の抑制に重要な要因となることが判明した。また、抗レジオネラ剤は行き届いた清掃を前提として使用しなければ、効果が減少してしまうことが裏付けられた。行き届いた清掃、適正な薬剤使用等の冷却塔の維持管理を行っていても、レジオネラ属菌が増殖してしまう事例も観察され、レジオネラ属菌数把握による客観的な冷却塔の維持管理が必要であると思われた。


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