救命し得たLegionella longbeachaeによる重症肺炎の1例

Legionella longbeachaeは1980年4月にアメリカ・カルフォルニア州ロングビーチの病院に発熱と肺炎で入院し、第10病日に死亡した59歳男性の気管支吸引液の培養で検出されたレジオネラ様菌株Long Beach4の性状を精査した結果新種と見なされ、1982年に命名記載された。その後北米大陸で数例報告があり、近年ではオーストラリアからの報告が多い。1988年から1989年にかけて南オーストラリアで集団発生しており、感染経路として園芸用の腐葉土が疑われている。日本では血清学的に診断された症例と培養陽性例が1例ずつ報告されているに過ぎない。今回報告する症例は急性呼吸促迫症候群(ARDS)を呈する重症肺炎で入院となり、入院時の喀痰よりL. longbeachaeが分離された。本症例は温泉旅行などのエアロゾル曝露歴はなく、職業も農協の出荷検査であり腐葉土などとの直接の関係は認められないため、感染経路は明らかでなかった。Legionella属菌の特性として通性細胞内寄生細菌であること、β一lactamase産生株が多いことがあげられる。このため治療には細胞内移行のよいmacrolide系薬、RRP、fluoroquinolone系薬などが用いられる.Legionella属菌の菌種による病原性や臨床像、薬剤感受性の差異に関する検討は少ないが、L.dumoffii による肺炎は劇症化すること、L.longbeachaeはEMやRFPに対するin vitroの感受性が低いことが報告されている。このようにL.pneumophilaでの検討結果を他の菌種に単純にてはめることはできないが、本症例ではアメリカ胸部学会の市中肺炎の治療ガイドラインで4群、日本呼吸器学会の呼吸器感染症に関するガイドラインでも重症肺炎に相当し、当初よりEMとRFPの投与を行った。この組み合わせは現在もっとも強力で相乗効果も期待でき、臨床的には奏効したと考えられる。我々の症例もPMX-Fによる血液浄化療法を併用することにより改善しており、今後有効性の検討がさらに必要ではあるが本療法は重症感染症やARDSの有力な補助療法になり得ると考えられた。


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