尿中可溶抗原による肺炎の診断-レジオネラ・肺炎球菌を中心に-

肺炎は今日においてももっとも重要な感染症の1つである。迅速な判断および適切な抗菌薬療法がその対応において重要であるが最近では、市中肺炎の原因としてレジオネラや肺炎クラミジアといった異型病原体の重要性が指摘され、診断法が複雑化した状況にある。特に肺炎球菌・レジオネラ肺炎は死亡率が高い感染症の代表であり、また選択される抗菌薬が異なることからも迅速診断が重要である。これらの診断法としては培養法がgold standardだが、特にレジオネラにおいては特殊培地を用いた培養が必要であり、その陽性率は決して満足できるものではない。一般的に、市中肺炎全体における起炎病原体の決定率は40〜60%という現状の中で、レジオネラおよび肺炎球菌感染症患者を対象に、患者尿から病原体抗原を特異的かつ迅速に検出できるキットが開発され利用可能となっている。今回のシンポジウムでは「尿中可溶抗原による肺炎の診断」をテーマに、レジオネラおよび肺炎球菌性肺炎の診断キットの特徴・有用性について発表している。東邦大学医学部微生物学教室は厚生省レジオネラ感染症研究班の1施設として1992年から本症の診断を開始し、本菌肺炎疑いで送付された検体を対象に約9年間で170症例のレジオネラ肺炎を診断している。今回、これら症例を対象にレジオネラ肺炎診断における尿中抗原検出キットの有用性について解析を加えている。尿中抗原の検出はBinaxおよびBiotest社のキットを用い検討し、各種検査法における陽性/検査症例数(%)は、培養法で28/104症例(26.9)、血清抗体価測定で64/162症例(39.5)、PCR法で61/100症例(61.0)、尿中抗原検出で94/154症例(61.0)であった。特に培養陽性となったL.pneumophila血清型1感染症においては16/19症例(84.2)が尿中抗原陽性であった。Binax及びBiotestの両方の検査が実施できた149症例でみると、両方陽性が61症例、Binaxのみ陽性が19症例、biotestのみ陽性が13症例であった。さらにL.pneumophila血清型1以外の感染症における尿中抗原の陽性頻度は6/23症例(26.1)と低いことから、本キットは基本的に血清型1感染症に対して有用な検査法であると考えられたとしている。肺炎球菌感染症における尿中抗原検出キットがBinax社より開発されていおり、市中肺炎57例における検討では、19症例で肺炎球菌尿中抗原が陽性となっている。このうち喀痰培養陽性であった6例中3例が尿中抗原陽性となっている。現在さらに症例を蓄積、まとめて報告する予定であるとのこと。


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