大葉性肺炎の起炎菌決定における尿中抗原測定の有用性

肺炎の起炎菌決定の材料として喀痰が用いられるが、培養同定に数日を要し、喀痰喀出不能例ではその決定が困難である。今回、市中感染の大葉性肺炎における尿中抗原測定の有用性について検討した。対象は、平成12〜13年に起こった2つの集団での重症肺炎症例と喀痰喀出困難であった大葉性肺炎の2症例。尿中抗原測定はBinax社のNow LegionellaとNow S.pneumoniaeキットを用いて行った。循環式風呂のある漁船中で2名の重症肺炎が発生し1名死亡、さらに4名が肺炎で入院し、レジオネラ集団感染が疑われた。喀痰培養・PCR・尿中抗原検査ではレジオネラ陰性。が、4例で肺炎球菌尿中抗原陽性であり、船内での肺炎球菌集団感染と診断。後日喀痰より肺炎球菌検出。療育施設内で4名の重病肺炎が同時発生。レジオネラ集団感染が疑われ検査施行したが陰性。肺炎球菌尿中抗原陽性で施設内での肺炎球菌集団感染と診断。後日喀痰より肺炎球菌検出。老健施設入所中の男性が大葉性肺炎を発病。喀痰喀出不能だったが、尿中抗原検査で肺炎球菌性肺炎と診断。紅皮症の69歳男性が大葉性肺炎を発症したが喀痰喀出不能、尿中抗原検査で肺炎球菌性肺炎と診断。治癒から2週間後、同部位に再び大葉性肺炎を発病。肺炎球菌性肺炎の再発としてβ-ラクタム薬で治療されたが肺炎増悪し、尿中抗原検査でレジオネラ肺炎と診断。肺炎の集団発生ではレジオネラに加え肺炎球菌の関与を疑う必要があり、市中感染の大葉性肺炎では肺炎球菌に加えレジオネラの検査も重要である。その迅速な鑑別診断法として、尿中抗原測定が極めて有用であるとしている。


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