温泉に塩素が入っているとは

温泉に塩素を入れる施設がかなりあるという事実は、温泉通の間では割と知られている。塩素を入れるのは「循環装置」を利用している温泉で、浴槽内の温泉水をろ過し繰り返し使うために塩素殺菌の必要。平成になってからできた公共温泉の9割以上が循環風呂だという。2000年、循環装置を使っていた静岡県の温泉施設と茨城県の市営入浴施設で、レジオネラ菌感染による利用客の死亡事故がおきた。両県は条例で浴槽水を毎日交換するよう義務付けていたが、前者は1週間、後者は1ヶ月以上同じ湯を使いつづけていた。垢などで栄養豊富になった湯が42度前後に保たれる循環式浴槽は、レジオネラ菌にとっては格好の増殖場所になっていると指摘。旧厚生省はレジオネラ菌対策として2000年12月、浴場の衛生管理のための要領を改正し初めて「好ましい塩素濃度」の基準を設定したが、上限は示さなかった。結果として現場ではどうしても塩素を多めに入れるよう指導しがちになり、行政指導があった源泉100%の温泉でも飲ませないところが増えていると言う。地下深くから強引に汲み上げた温泉は概して湯量が少なく、大浴槽を維持するには循環させるしかない。また、温泉の証である「温泉分析書」は湧出地の源泉で分析され、浴槽水の中身は問われない。浄化され透明な湯に慣れた客から湯が汚いと抗議された「にごり湯」の温泉宿もあり、温泉にも情報開示が必要であろう。「日本温泉協会」は加盟する約1500の旅館、施設に銅色の「天然温泉マーク」を貸与してきたが、今後は浴槽水の評価でマークを金・銀・銅に色分けできないか、6月をめどに検討していると言う。一番よいのは宿や施設に直接源泉かどうか尋ねることだ。自信のあるところはきちんと説明してくれるはずであるとしている。


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