レジオネラ感染症における最近の話題

レジオネラ感染症の診断法及び発症病態に関する新しい知見を紹介している。
●診断法の進歩レジオネラ症の診断法として、培養法、血清抗体価測定法、尿中抗原検出法、PCR法が利用可能となっているが、特に尿中抗原検出法は迅速かつ簡便に実施できる検査法であり注目されている。酵素抗体法、イムノクロマトグラフィ法による診断キットが開発されており、後者を用いるとスワブで患者尿を採取してから約15分で診断ができる。但し、このキットで診断できるのは基本的にL.pneumophila血清型1による感染症である。また、レジオネラ肺炎患者における尿中抗原の排出は、急性期だけでなく肺炎発症後4〜8週間以上持続する症例が散見されおり、これはレジオネラ肺炎において菌(少なくとも菌体抗原)が長期に渡り宿主内に存在していることを意味している。レジオネラ症の遺伝子診断としてはmacrophage infectibity potentiator(mip)領域、5SrRNA、165rRNAなどをターゲットにした方法が報告されている。但し種々のポリメラーゼ阻害物質の混入により偽陰性となることがり、血清及び尿を対象とした遺伝子診断は現時点では確立した検査法とはいえないが、レジオネラ症診断の困難さ、血清・尿採取の容易さなどを考えると本法は将来的に有望なレジオネラ症診断法の一つと考えられる。

●発症病態レジオネラの感染防御機構としてはTh1-サイトカイン反応及びこれを介した細胞性免疫の発動が重要であり、近年病原体が生体側アポトーシス機構に作用し、その誘導あるいは阻害を通して感染症発症病態に関与している事実の報告がされている。レジオネラ感染においても、感染細胞に強い細胞障害が確認されていたが、メカニズムはよく理解されていなかった。最近になって、培養細胞を用いたin vitro実験において、レジオネラ感染1〜8時間という急性期にマクロファージ及び肺胞上皮細胞にアポトーシスが誘導されることが報告され、その機序としてレジオネラによる生体細胞caspase-3の活性化が考えられている。本現象がヒトのレジオネラ肺炎の発症病態にどのように関与しているかは不明であるが、患者にしばしばみられる強い低酸素血症、ARDSあるいは肺の繊維化との関連についても今後さらに解析する必要がある。


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