Lejionella pneumophilaの熱ショック蛋白質発現と細胞内増殖性との相関について

細胞内寄生菌であるLegionella pneumophilaは、感染に伴い急激な環境変化と宿主による感染防御機構といったストレス条件に曝される。菌体はこれらストレスに抵抗する手段の一つとして熱ショック蛋白質(HSP)を発現すると考えられ、HSPは細菌が病原性を発揮する上で重要な因子として機能していることが推測される。今回、我々は野生株JR32、非病原株25DおよびdotA変異株を用いてさまざまなストレス環境におけるDnaKをはじめとしたHSPの発現応答について検討した。

方法
AYE培地中で培養した各菌株に熱ストレスおよび浸透圧ストレスを与え、35S標識メチオニン/システインでパルスラベル後SDS-PAGEを行い、HSPの発現をオートラジオグラフィにより、またDnaKを特異体抗体を用いた免疫沈降法によって検出した。

結果
DnaKをはじめとした多くのHSPの発現増強が観察されたが、人工培地中では各菌株によるそれらの発現量には差は認められなかった。一方で、U937細胞に各菌株を感染させ、細胞内に取込まれた菌体のHSPの発現を検討したところ、UR32株では、DnaKをはじめとした多くのHSPの発現は増強された。また、L.pneumophilaの自然宿主のひとつであるAcanthamoeba polyphageに各菌株を感染させたところ、その発現量はJR32株ではU937感染時に比べてHSPの発現量は弱く、JR32株に比べてさらに低下した。

考察
このことから、菌にとっての感染宿主内のストレス環境が自然宿主内のそれとは異なり、また宿主細胞内における菌体のストレス蛋白質発現が細胞内増殖性に関与することが示唆された。

会員外共同研究者Howad A. Shuman(コロンビア大)


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