院内感染におけるレジオネラ対策の現状

院内感染例1979年から1992年までの14年間にわたる厚生省の調査によるとレジオネラ肺炎患者数は86例であった。市中感染が76%、院内感染が24%で、死亡率は市中感染26%、院内感染53%であった。感染源としては、給水給湯施設、空調冷却湯(クーリングタワー)が多く、その他に加湿器、ネブライザー(吸入器)、シャワーなどが挙げられる。この報告以後、全国規模の調査は行われていないが、1996年に大学病院の新生児病棟において4例のレジオネラ肺炎が発生、2000年には病院の循環式浴槽が感染源と推測された院内感染が、2003年には大学付属病院で給湯水が感染源とされた院内感染例が報告されている。

対策
給水給湯施設給水給湯施設の配管はできるだけ短くすること。給湯系は集中式より分散式が望ましい。水温については給水系は20℃以下に、給湯系は55℃以上に保つとともに水の残留塩素を確保すること。病院内のシャワーヘッドは1ヶ月に1回以上定期的に70℃程度に昇温してフラッシングを実施すること。免疫抑制患者に対してはシャワーの使用を制限するなどの考慮をすること。

空調冷却塔(クーリングタワー)構造面では冷却搭の型式を飛散水量の少ないクロスフロー(直交流)方式にする。あるいは冷却搭のエリミネータ(除滴板)の強化など。設置場所としては冷却搭と居室の窓および人が活動する場所との距離を10m以上離す。また、冷却水中のレジオネラ属菌を抑制するためには、定期的な清掃を行うとともに化学的洗浄剤と殺菌添加を併用することが必要である。

加湿器加湿器の機種は超音波式、気化式、ヒーター式に大別される。いずれの加湿器の水槽水も汚染されやすい点では同じであるが、汚染菌の外部への飛散程度は機種によって異なる。エアロゾルを多量に発生する超音波式が最も飛散量が多く、水蒸気しか発生しないヒーター式は水槽水が汚染されていても汚染菌が飛散する危険がない。したがって、加湿器に関してはヒーター式のエアロゾルを発生しないものを使用することが望ましい。

ネブライザー(吸入器)ネブライザーは薬液あるいは生理食塩水などの液体を使用するため、微生物の汚染を受けやすい。使用上の注意としては吸入液の管理とネブライザー装置の消毒の両方が重要である。吸入液の汚染を防止するには、吸入液の調整を小容量の容器で行い、冷蔵保存することが効果的かつ実際的である。また、ネブライザー装置については消毒剤を用いた洗浄が必要である。また、乾燥も効果的な殺菌処理と考えられる。

循環式浴槽易感染患者が多い医療関係施設での循環式浴槽の使用は、現時点では避けるべきであると考える。


レジオネラ文献, 総論カテゴリーの記事