持続的血液濾過透析(CHDF)の有効性が認められた急性腎不全併発のレジオネラ肺炎の1例

持続的血液濾過透析(CHDF)の有効性が認められた、健常中年男性に発症した急性腎不全併発のレジオネラ肺炎の1例を経験したので報告する。

症例:52歳、男性、身長163cm、体重52kg主訴:発熱、呼吸困難感初診時現症:意識清明、体温38.0℃、呼吸音で右下肺野にcoarse crackleを聴取、浸潤影およびスリガラス様陰影を認める。急性腎不全を呈し、肝機能障害、筋原性酵素の上昇、低Na血症を認める。

経過:初診時現症より、細菌性肺炎を疑い入院当日よりpiperacillin(PIPC)4g/日を投与。急性腎不全に対しては補液を行い経過観察した。しかし、翌日より呼吸状態が悪化、浸潤影の急速な広がりを示した。見当識障害、理解不能な発言も認めるようになった。喀痰のグラム染色では、有意な細菌は認められなかったため、これらの経過より、レジオネラ肺炎を疑い、minocycline(MINO)200mg/日を投与開始し、腎不全に対してはCHDFを開始した。急性腎不全に対してはCHDFを開始後、急激に解熱し、呼吸困難も改善した。肝機能も改善。経過中に提出した尿中レジオネラ抗原検査が陽性であったため、Legionella pneumophila serogroup Iによるレジオネラ肺炎と判断した。

考察:本症における急性腎不全の合併率は10%とされており、現在までの報告は、欧米では60例、日本では文献上で7例のみと少ない。しかし、死亡率は51%と、本症全体の死亡率21%に比べて高率で日本で報告されている7例中においても3例が死亡しており、腎不全合併例では特に早期診断が重要である。また、重傷感染症に引き続く全身症の発症には炎症性サイトカインの働きが重要であり、CHDFにはこれらサイトカインを除去する作用があるとされている。本症例では急性腎不全に対しCHDFを施行したが、適切な抗生剤はもちろんのこと、CHDFが全身合併症の発展防止に寄与した可能性も考えられる。本症例では早期にレジオネラ肺炎を疑い、これに準じた治療を開始したことと、急性腎不全の発症に対し早期にCHDFを導入したことが症状の速やかな改善につながり、救命できたものと考えられる。


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