温泉:知っておきたい基礎知識–長野・白骨温泉の入浴剤混入問題が冷水に

2004/07/22の毎日新聞 朝刊より。 夏休み直前に発覚した名門温泉の「入浴剤」混入事件。これを機に改めて温泉の基礎知識をまとめた。 ◇「掛け流し」は少数派 Q 掛け流しは見分けられるの? 「源泉掛け流し」とは、源泉の湯だけで浴槽を満たし、あふれるままに使い捨てる方式で、温泉本来の姿である。一方、循環式は湯を回収し再利用するため、殺菌が不可欠で、通常は塩素が投入される。湯量不足を解消し、清掃の手間も省けることから、すでに入浴施設の7割前後が循環方式と推定される。 給湯法の表示は義務付けられていないが、日本温泉協会は昨春から、各温泉の情報を記した新看板設置を試みている。放流式(掛け流し)か循環式か併用式かの給湯法や加水の有無など5項目を3段階で評価するもの。これまでに268軒が導入したが、全施設の約1%に過ぎないという。寺田徹・同協会専務理事は「看板を見たら、情報を自ら公開する誠実な宿と受け止めて」と利用者に訴えている。 表示がなくても湯があふれていれば掛け流しの可能性が大きいが、断定はできない。施設に問い合わせるか、塩素臭をかぎわけるほかはないだろう。 ◇名湯にも塩素、湯枯れ各地で Q 掛け流しにも塩素を入れているって本当? 一昨年、レジオネラ属菌による死者が出て以来、銭湯や温泉への行政指導が強化され、塩素投入を条例で定める都道府県も出ている。名湯・道後温泉本館(松山市)も昨年から、やむなく源泉に塩素を投入したという。また、自主的に塩素を入れる温泉場もあるという。いずれにせよ塩素入りの湯なら、間違っても飲んではならない。 塩素を使わない温泉に菌繁殖の恐れはないのだろうか。日本温泉協会は、毎日湯を抜き清掃すれば、菌が致死量にまで増えることはないとしている。 そんな中、注目されるのは奈良県最南端の十津川村が先月末に出した「源泉掛け流し宣言」。一部に循環式もあったが改装し、塩素も追放し、清掃を徹底した。村内25の全施設が「温泉本来の姿を取り戻した」という。 Q 湯枯れはなぜ起こる? 原因は地殻変動や周辺開発の影響など、一様ではないという。だが同協会によると、70年度には全ゆう出量の半分に過ぎなかった「動力」型が、02年度には約7割に増加している。これは大深度掘削の末にポンプなどでくみ上げる温泉が増えたことを示す。これらには「たまり水型」が多い。いわば限りある資源であり、枯れやすいという。

記事掲載誌 毎日新聞朝刊 掲載日 2004年7月22日 記事番号 553