◎[取材最前線]“湯守”たちの危機感

2004/03/18の愛媛新聞によると、今月8日から10日まで岐阜県上宝村の福地温泉(奥飛騨温泉郷)で温泉学会第2回全国大会が開かれたという。松山市の道後温泉が昨年10月から塩素消毒を始めたことを受け、出席した学者・温泉旅館経営者は強い危機感を募らせていたという。 シンポジウムでは、水科学の専門家が、塩素使用で天然温泉本来の効能が失われることを報告し、「塩素消毒は温泉のプール化につながる」と指摘した。温泉旅館経営者は、「源泉かけ流し式温泉」にも塩素投入を求める行政指導が全国で行われていることに対し「本物の温泉が死滅してしまう」と述べ、“湯守”の悲鳴を会場に伝えていたという。 人命の尊さを思えば、公衆浴場としての安全性確保は最優先だが、消毒で効能が失われてしまうのなら、癒やし文化の典型である本物の温泉が死ぬと言っても過言ではないだろう。 レジオネラ症による死亡事故は、湯を何度も使い回す循環式温泉で発生した。今後はレジオネラ症の発生メカニズムを解明するとともに、源泉かけ流し式天然温泉の効能を守れる衛生管理体制の確立が急がれる。

記事掲載誌 愛媛新聞 掲載日 2004年3月18日 記事番号 495