◎道後温泉塩素消毒に異論沸くレジオネラ属菌対策独特臭や湯質変化「文化破壊」と批判本出版も

2004/01/16の愛媛新聞によると、全国の公衆浴場で発生したレジオネラ症を受け、厚生労働省は昨年2月、自治体への技術的助言として公衆浴場衛生管理要綱を改正したことを受け、愛媛県は同年10月、関係条例を改正し、浴槽水は原則的に塩素系薬剤で消毒するよう義務付けたという。 市は塩素以外の殺菌方法も検討したが、改正要綱に塩素消毒との併用を求める記述があることや、機器の設置場所・コストなどの問題から塩素消毒に踏み切った。濃度は1L当たり0.2〜0.4mgだが、においのきつさや湯質変化を指摘する声が相次いだという。 同症が多発したのは、湯を何度も再利用する「循環式」の銭湯などで、道後温泉は、浴槽からあふれた湯を使い捨てる「かけ流し式」で、温泉本来の姿を保っている。 札幌国際大学の松田忠徳教授(温泉文化論)は、清掃管理が徹底しているかけ流し式温泉地では同症が発生していないことを挙げ「まず循環式の対策を徹底すべきだ。助言に過ぎない国の改正要綱を受けた塩素消毒は温泉文化の破壊で、利用者への裏切り行為」と指摘しているという。道後温泉本館・椿の湯は利用者に向けた塩素使用の表示がないことにも触れ、16日発売の著書「これは、温泉ではない」(光文社新書)では10ページ以上を割いて道後温泉を批判している。 県薬務衛生課は「同症のメカニズムが解明されていない以上、かけ流し式だからといって100%安全とはいえず、人命最優先で厳しい網を掛けた」と語り、将来的な規制緩和の余地は残るものの、当面は塩素消毒の原則を変える予定はないという。 市道後温泉事務所は「昔ながらの温泉に塩素を入れたくはない」と本音を漏らすものの、「市が県条例を無視するわけにはいかない。万が一、発症例が出たら取り返しがつかない」と説明する。 市は消毒後の温泉水に成分変化が生じていないかどうかの分析を県に依頼しており、3月には結果が出るという。

記事掲載誌 愛媛新聞 掲載日 2004年1月16日 記事番号 456