国、不十分な実態把握医師の見逃しもレジオネラ菌感染【西部】

2002/08/15朝日新聞 朝刊によると、死者6人を出した宮崎県日向市の「日向サンパーク温泉」など、お湯を循環させる方式の浴場・温泉施設で発生することが多いレジオネラ菌による感染被害の実態を国が十分に把握できていないことが明らかになった。診断した医師が被害を届け出る仕組みが99年に作られたが、実際には集団感染でないと感染が見逃されるケースが多いという。専門家は「コレラなどと違って人から人へ感染しないため、危険性が十分に理解されていないことが背景にある」と指摘している。 厚生労働省によると、レジオネラ菌や腸管出血性大腸菌O(オー)157などの感染症に対応するため、99年に感染症法が改正された。細菌検査で陽性だと、医師が1週間以内に都道府県に届け出ることになった。 厚労省へのレジオネラ菌感染報告数は00年が感染者153人、01年が83人だった。 しかし、初期症状が普通の肺炎に似ており、琉球大医学部の斉藤厚教授によると、医師がレジオネラ症と見抜けないケースが多いという。 斉藤教授は「細菌検査法の中にはレジオネラのうち特定の菌種しか検出できないものもある。温泉などを利用した後に肺炎を起こしたケースはもれなく原因を調べて感染の全体像を明らかにする必要がある」と話す。レジオネラ感染は抗生物質による治療法が確立されているものの、発症後、急に悪化する特徴があり、通常の肺炎治療を続けていると手遅れになるという。 厚労省は「届け出制度は、医師がきちんと診断できることを前提にした調査。医師の診断能力向上に対して、国は指針を出している。いまのところ届け出以外の全国調査をする予定はない」(結核感染症課)としている。

記事掲載誌   掲載日 2002年8月15日 記事番号 265