枯れる温泉入湯税収入は魅力だが掘り過ぎに歯止め必要(解説)

2003/12/05の東京読売新聞 朝刊より。 温泉ブームによる過剰な源泉掘削で、温泉の湯枯れが懸念されている。 温泉を所管する環境省の温泉利用状況統計によると、源泉数は、統計を取り始めた1962年度の約1万3000ヶ所から増え続け、2001年度には約2万6800ヶ所に達したという。 温泉開発が進んだ背景の一つは入湯税にあるようだ。標準税率は入浴者1人当たり1日150円。総務省によると、全国で1286市町村(2001年度)が徴収しており、税収総額は240億7000万円に上るという。10年前に比べ25%も増えている。 不況で住民税や所得税の税収が落ち込む中、各自治体にとって温泉は、観光資源であるほか、極めて魅力的な収入源となっているようだ。 一方で、全国総湧出(ゆうしゅつ)量は99年度をピークに減少へ転じている。源泉を掘り当てる技術が発達し、どこからでも湯をくみ出せるようになった分、温泉の“粗製乱造”が増えているのだ。 そのため、湯量不足が深刻な施設が増え、加水や加熱、循環による温泉水の再利用で補っている所も多いという。 昨年7月、湯を循環再利用していた宮崎県日向市の温泉施設で、死者を出したレジオネラ属菌の集団感染が発生した事故を筆頭に、利用者への悪影響も出ている。 しかし、現行の温泉法では、掘削場所や深度、ポンプの設置条件などに特に制限はない。 環境省は、過去10年間の温泉の掘削深度や温泉の状況変化などの実態調査を開始したという。塚腰光男・自然環境整備課長は「調査結果をもとに、今後の管理体制のあり方を考えたい」と話し、温泉法の改正も視野に入れる。 また、自衛策に乗り出した自治体もある。国内源泉の2割が集中する大分県では2001年3月、全国に先駆けて「温泉管理基本計画」を策定した。すでに多数の源泉を掘っていて、周辺の源泉に影響が出そうな地域では新規掘削を原則禁止したほか、各温泉の泉温や水位を毎月、モニタリング調査しているという。

記事掲載誌 東京読売新聞朝刊 掲載日 2003年12月5日 記事番号 5