建築物の衛生と微生物制御 冷却水の微生物対策

 

冷却水は、冷凍機と冷却塔の間を循環しており、冷凍機が冷水を作り出す際に発生する熱を冷却塔で放出する。レジオネラ症は冷却水、給湯水、浴槽水等でレジオネラ属菌が増殖して、レジオネラ属菌を含む微小水滴(エアロゾル)をヒトが吸い込むことで感染、発病する。レジオネラ属菌の抑制対策には、浮遊しているレジオネラ属菌を殺菌するだけでなく、増殖源であるバイオフィルムを無くす必要がある。冷却水で微生物が発生し障害を起こすのは、水温、pH、水中の溶解成分、日射、水の流速等の要因が好適なためである。現行システムを変更せずに、効果的かつ低コストで冷却水の微生物対策を行うには、防菌防黴剤の添加、及び化学洗浄が一般的である。

レジオネラ属菌数の目標は水中浮遊の菌数で示されるが、バイオフィルム中のレジオネラ属菌にも留意する必要がある。バイオフィルムはレジオネラ属菌の供給源であり、水中よりも高率・高濃度で菌が存在することが報告されている。バイオサイドの種類による検出率の違いによって、冷却水処理を行ってもスライムが生成したり、レジオネラ属菌が検出される場合がある。レジオネラ属菌検出率は、無処理が53.1%、グルタルアルデヒドが9.7%、イソチアゾリンが19.2%、カチオン系が、21.9%、塩素系が55.0%である。有機系薬剤は、無処理に比較して検出率を低下させている。一方次亜塩素酸塩等の塩素系は、無処理と同等以上の検出率であり、10,000CFU/100mL以上の抗菌数の比率は13%であり、無処理の2.9%に対して高率となっている。この原因として、塩素系はアメーバを抑制できないこと、アメーバ内で増殖したレジオネラは塩素剤に対する抵抗性を有することなどが挙げられる。

近年では、バイオサイドとしてヒトや環境へ影響がより少ない物質が採用されている。使用にあたっては、無処理効果のモニタリングとそのフィードバックによる適正な種類及び量の管理が重要である。

 


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