温浴施設の微生物汚染の現状と対策

 

近年では、日帰り入浴施設や旅館、ホテルなどで、多くの人々が温泉水や炭酸湯、
泡風呂など様々な形態の温浴施設を利用している。温泉施設では、レジオネラ問題を
中心として、微生物汚染の対策を講じる必要がある。

1991年頃から浴槽水を感染源とするレジオネラ症が報告されるようになり、2000年
に静岡県と茨城県で、2002年に宮城県と鹿児島県で、開業して間もない入浴施設を感
染源とするレジオネラ症の集団発生が起きた。
日本全国の温浴施設浴槽水のレジオネラ属菌検出率は2001年は30.9%、2003年にか
けて低下し14.0%と約半分になったが、その後は2012年まで大きな変動はなく13.0%
程度である。

温浴施設の衛生管理要項は、「公衆浴場における衛生等管理要領等の改正について」
に示されている。特に留意するべき事項として「レジオネラ症の発生の事例を踏まえて、
浴場施設の衛生管理、構造設備上の措置を行う必要がある」としている。床や壁、排水
口等に汚れや、真菌類等微生物の付着が無いよう、清掃消毒により清潔で衛生的に保つ
ことが求められている。
浴槽水にレジオネラ属菌が検出される機構は、浴槽系内の表面に、時間経過とともに
水中の汚れ(微生物・微粒子)が付着し、バイオフィルムを形成する。バイオフィルム
中にアメーバが定着し、その後レジオネラ属菌がアメーバに寄生・増殖して、水中に流
出しはじめる。
浴槽水のレジオネラ属菌防止対策は、設備構造面と維持管理面から考える。温泉水で、
アンモニウムイオン含有、遊離塩素の消費が速く消費量が大きい、pHが高い等の泉質
では、遊離塩素管理による対策が困難である。こうした温泉水使用の場合は、浴槽水中
にモノクロラミンを3mg/L程度維持することで、レジオネラ属菌抑制対策が改善される。

浴槽水のレジオネラ属菌検査は、温浴施設の営業自粛にも影響する重要な検査である。
細菌では、EMA-qPCR法の採用により、遺伝子法陽性、培養法陰性の不一致を60%削減し、
より正確な判定ができる。レジオネラ属菌対策は、正確、迅速な検査に基ずいて行うこ
とが大切である。

レジオネラ属菌対策は最優先で徹底する必要がある。足ふきマット、シャワーカーテ
ンの微生物に対する清掃・消毒がされている。床面の表面、椅子の表面、シャワーやド
ライヤーの取っ手などのATPを測定し、微生物汚染のリスクを把握してより良い衛生管
理に役立てている施設もある。
こうした取り組みが継続的に行われることで、衛生管理が徹底し、安全・安心な湯浴
みができることを期待する。


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